結論:真夏の停電で一番危ないのは「エアコン停止による室温上昇」。乳幼児は数時間で危険になる
地震や台風だけでなく、真夏の落雷・雷雨でも停電は起きます。大人なら我慢できても、体温調節機能が未熟な赤ちゃん・小さな子供は、エアコンが止まった室内で短時間のうちに熱中症へ進行します。停電時にまずやること、普段からの備え、そして「暑がっているサイン」の見分け方を、順番に整理しました。
なぜ乳幼児は停電で危険なのか——体温調節が「まだできない」
環境省や気象協会の資料によると、子供は次の理由で大人より熱中症になりやすいとされています。
- 汗をかく機能が未発達……乳幼児は汗腺の働きが未熟で、皮膚から熱を逃がす体温調節がうまくできません。
- 脱水しやすい……新陳代謝が活発で、汗や尿として失う水分が多く、短時間で脱水に傾きます。
- 地面・熱源に近い……背が低く、ベビーカーや床の上で過ごすため、床や地表からの放射熱を受けやすい。
特に乳幼児の熱中症による重い事故は0歳・1歳で多いと報告されています。エアコンが止まった室内は、閉め切っていると外気温より高くなることもあり、「大人がなんとか我慢できる暑さ」が、赤ちゃんには危険水準になり得ます。
停電が起きたら、まずこの順番で動く
① 窓を開けて風の通り道をつくる(対角線で2か所)
エアコンが止まったら、まず室温をこもらせないこと。部屋の対角にある窓を2か所開けると空気が流れます。直射日光が入る窓はカーテンやすだれで日射を遮り、日陰側の窓から風を入れます。
② 体を冷やす——太い血管が通る場所を優先
保冷剤や凍らせたペットボトルをタオルで包み、首・わきの下・足の付け根に当てると効率よく体温を下げられます。うちわ・手持ち扇風機で風を送るのも有効。赤ちゃんは肌が弱いので、保冷剤を直接当てず必ず布で包みます。
③ こまめに水分を——「欲しがる前」に少しずつ
母乳・ミルク・麦茶・経口補水液などを少量ずつ、回数を増やして与えます。汗で塩分も失われるため、月齢に応じて塩分補給も意識します。
④ どうにも下がらない・様子がおかしいときは迷わず119
ぐったりする、呼びかけへの反応が鈍い、汗が急に止まる、けいれん——こうしたサインがあれば熱中症の重症化が疑われます。判断に迷うときは小児救急電話相談#8000、緊急時は119。涼しい場所へ移し、体を冷やしながら救急要請してください。
子供の熱中症の初期サインについては、子供の熱中症サイン——「暑い」と言えない子のSOSの見つけ方で詳しく解説しています。
停電に「備えて」用意しておくもの
停電は起きてからでは動けません。工場の設備でいう「非常用電源・予備手段」を、家庭でも先に用意しておくのが基本です。
- モバイルバッテリー/ポータブル電源……スマホの充電、扇風機やサーキュレーターの稼働に。長時間・広範囲の停電に備えるならポータブル電源があると安心度が大きく変わります。
- 電池式・充電式の扇風機、うちわ……風を送るだけでも体感温度は下がります。
- 保冷剤・クーラーボックス……冷凍庫の保冷剤を多めにストック。停電中の冷却にも、食品保冷にも使えます。
- 水の備蓄……飲料水は1人1日3Lが目安。家族の人数×最低3日分をローリングストック(普段から少し多めに買い、使った分を補充)。
- 冷感タオル・ネッククーラー・経口補水液……すぐ体を冷やす・水分補給する手段。
停電・災害全般の備えは地震に備える子供の安全——家具固定・備蓄・在宅避難3つの柱、備えるグッズは子供用防災グッズおすすめ5選もあわせてご覧ください。
真夏の停電に備えるポータブル電源——必要な家庭・いらない家庭
エアコンが止まっても、扇風機を回せるかどうかで室温と体感温度の上がり方は大きく変わります。扇風機(30W前後)を動かし続ける電源として、ポータブル電源は現実的な選択肢です。ただし10万円前後の買い物なので、先に「要るかどうか」を確認してください。
| 用意しておきたい家庭 | なくても対応できる家庭 |
|---|---|
| 0〜2歳の子供がいる(暑さを言葉で訴えられない) | 子供が小学生以上で、水分補給や移動を自分でできる |
| 夏に停電や落雷が多い地域・過去に半日以上の停電があった | 停電しても数時間で戻る地域 |
| 近くに涼める場所(実家・商業施設など)がない | 車や徒歩ですぐ涼しい場所へ避難できる |
| 高層階・西日の強い部屋で、窓を開けても室温が下がりにくい | 風通しがよく、窓を開ければしのげる |
容量の目安は計算で出せます。容量(Wh)×0.8÷扇風機の消費電力(W)=使える時間。30Wの扇風機なら、500Whで約13時間、1,000Whで約27時間です。夜通し扇風機を回し、スマホも充電したいなら1,000Wh前後が安心です。
国内の定番はEcoFlowとJackeryの2社です。1,000Whクラスの現行モデルを公式スペックで比べた表は、子供がいる家のポータブル電源は何Wh必要?にまとめました。
※広告を含みます
▶ EcoFlow 公式サイトはこちら![]()
※広告を含みます
正直に書いておく点:ポータブル電源でエアコンを動かすことは、容量・出力の面で現実的ではありません(動いても短時間です)。停電中の暑さ対策の主役は、あくまで風を通す・体を冷やす・水分をとるの3つで、ポータブル電源は扇風機を止めないための補助です。
停電中こそ「暑がっているサイン」を見逃さない
赤ちゃんは「暑い」と言えません。手足の冷たさで判断せず、首の後ろ・背中に手を入れて汗ばんでいれば暑がっているサインです。顔が赤い、機嫌が悪い、ぐったりする、おしっこの回数が減る——これらは体温が上がり水分が足りていない可能性を示します。平常時の見分け方は赤ちゃんの夏の寝室は何度?「28℃」は設定温度ではなく室温で解説しています。
よくある質問
Q. 停電中、車のエアコンで涼んでもいい?
有効な手段です。ただし2つの注意があります。車庫など囲まれた場所や、マフラーのまわりがふさがれた状態でエンジンをかけると、排気ガスが車内に入り一酸化炭素中毒になるおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使ってください。また、子供だけを車内に残さないこと。エンジンが止まれば車内は短時間で高温になります。大人が必ず同乗してください。
Q. カセットボンベ式の発電機で扇風機は動かせる?
動かせます。カセットこんろ用のボンベで発電する発電機(例:ホンダ「エネポ」EU9iGB、定格出力900VA)があり、扇風機くらいなら十分に動きます。なお、カセットガスで直接回る扇風機は、現在はほとんど見当たりません。「ガスで扇風機を回す」なら、この発電機を使う形になります。
ただし子供がいる家庭では、次の点を知ったうえで選んでください。
- 室内では使えない……エンジンで発電するため、排気ガス(一酸化炭素)が出ます。屋外の風通しのよい場所に置き、延長コードで電気を引き込む使い方になります
- 運転時間が短い……エネポの公式の数字では、ボンベ2本で約2.2時間(出力1/4の場合)。夜通し回すにはボンベの交換が何度も必要です
- 音が大きい……公式の騒音レベルは79〜84dB。夜間や集合住宅では使いにくいです
赤ちゃんが寝ている部屋の扇風機を夜通し止めたくない、という目的なら、室内で使えて音もしないポータブル電源のほうが向いています(1,000Whで30Wの扇風機を約27時間)。発電機は、照明や冷蔵庫を長時間まかないたい・屋外に置き場所がある家庭向けの備えです。
Q. ポータブル電源はどのくらいの容量が必要ですか?
夏の停電で子供を守る目的なら、500〜1,000Whが目安です。30Wの扇風機を回す場合、500Whで約13時間、1,000Whで約27時間(変換ロスを2割見込んだ概算)。エアコンは消費電力が大きく、動いても短時間と考えてください。
Q. 停電情報はどこで確認できますか?
お住まいの電力会社の停電情報ページ・アプリで復旧見込みを確認できます。あわせて環境省の「熱中症警戒アラート」(LINE公式アカウント等)で、その日の暑さの危険度もチェックしておくと備えやすくなります。
関連:子供がいる家のポータブル電源は何Wh必要?|子供の熱中症対策グッズおすすめ5選【2026年】防ぐ・冷やす・補う3段階ケア
※広告を含みます
👉 発火事故を防ぐ具体的な使い方はポータブル電源の「やってはいけない使い方」と子供がいる家の置き方で、消防庁のデータをもとに詳しく解説しています。
この記事を書いた人
メーカーの生産技術エンジニアとして14年、工場設備の安全設計とリスクアセスメントに携わってきました。「停電=電気が止まること」ではなく、「停電で何が止まり、その結果どんな危険が連鎖するか」という視点で、家庭の備えを工場のリスク対策と同じ考え方で整理しています。医療的な判断が必要な場面では、必ず受診の目安(#8000・119)もあわせて示します。
まとめ:停電対策は「電気の話」ではなく「暑さから子供を守る話」
真夏の停電で本当に怖いのは、暗さよりもエアコンが止まって室温が上がることです。乳幼児は体温調節が未熟で、短時間で熱中症に進みます。停電が起きたら「窓で風を通す→首・わき・足の付け根を冷やす→こまめに水分→おかしければ119」。そして起きる前に、モバイルバッテリーやポータブル電源、保冷剤、水の備蓄を用意しておく。この準備が、いざというときに子供の命を守ります。
参考
※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。体調に異変があるときは医療機関にご相談ください。

