もしもAIの反乱でロボットが襲ってきたら、子供をどう守る?——安全技術者が本気で考えたら、今日からできる4つの備えになった【もしもの安全ラボ】

もしもの安全ラボ:ロボットが反乱したら子供をどう守る? もしもの安全ラボ

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【はじめにお断り】この記事は、起こる確率が極めて低いことを、あえて本気で考えてみた読み物です。ロボットの反乱が起きると言っているわけではありません。

☕ もしもの安全ラボとは

コーヒーブレイクのお供に。「まず起こらないこと」を、安全の仕事をしている人間が本気で考えてみるコーナーです。ばかばかしい前提から始めますが、最後は必ず、公的機関の資料にもとづいた「今日から使える備え」にたどり着くように書いています。

たとえば、子供にこう聞かれたとします。「ねえ、ロボットが反乱したらどうするの?」

大人なら「そんなことは起きないよ」で終わらせるところです。でも、安全の仕事をしている人間としては、ちょっと本気で考えてみたくなります。

結論から書くと、本気で考えるほど、答えは「いつもの防犯・防災」に戻ってきました。ロボットが相手でも、不審者が相手でも、地震が相手でも、子供を守る基本はほとんど同じだったのです。

先に結論を書きます

  • ① 機械とは「距離」をとる。職場の産業用ロボット(定格出力80W超)は、接触の危険があるときは柵や囲いなどを設けることになっています(労働安全衛生規則 第150条の4)。家の機械も、近づかないこと・止め方を大人が知っておくことが第一歩です
  • ② 相手がロボットでも「いかのおすし」。ついて行かない(知っている人でも)・車に乗らない・大声を出す・すぐ逃げる・大人に知らせる。警視庁の防犯標語は、相手を選びません
  • ③ 声を信じすぎない。家族の「合言葉」を決める。警視庁は特殊詐欺対策として、家族で合言葉を決めておくことを勧めています
  • ④ はぐれたときの連絡方法を練習しておく。災害用伝言ダイヤル(171)は、毎月1日と15日に体験利用ができます

この記事が向いている人・向いていない人

向いている人 向いていない人
子供に防犯や防災の話をしたいけれど、怖がらせずに切り出すきっかけがほしい人 AIの最新の研究や、ロボットの危険性そのものを知りたい人(この記事はその分析をしていません)
「いかのおすし」や171を、子供と遊び感覚で練習したい人 今まさに不審者や災害で困っている人(警察110番・消防119番に連絡してください)

作戦会議①:まず、ロボットの「弱点」を知る

映画のロボットは無敵ですが、現実の職場ではロボットと人の間に距離をとる決まりがあります。

日本の職場のルールでは、定格出力が80W(ワット)を超える産業用ロボットについて、人が接触して危険が生じるおそれがあるときは、さくや囲いを設けるなどの措置をとることが決められています(労働安全衛生規則 第150条の4)。人のすぐそばで一緒に働く「協働ロボット」も、リスクアセスメントで危険のおそれがなくなったと評価できる場合などに限って認められる、という考え方です(厚生労働省、平成25年の通達)。

つまり職場のロボットの安全の基本は、「人とぶつからないようにする」こと。当ブログの考えとして、これは家の中でも使えます。

  • ロボット掃除機、ドラム式洗濯機、電動ベッドなど、家の中の「動く機械」の止め方(電源ボタン・コンセント)を大人が把握しておく
  • ブレーカーの場所を家族で確認しておく(当ブログの考えとして、停電のときにも役立ちます)

子供には「動いている機械には近づかない」、そして「止まっていても中に入ったり、遊び道具にしたりしない」を教えておくと、反乱が起きなくても十分に役立ちます。止まっているドラム式洗濯機の中に子供が入る危険についてはドラム式洗濯機の閉じ込めの記事で書いています。

作戦会議②:相手がロボットでも「いかのおすし」

反乱したロボットが、子供に優しい声で話しかけてきたとします。「おかあさんがけがをしたので、びょういんにつれていってあげるよ」。

実はこれ、警視庁が「こんなとき、どうする?」の例として挙げている声かけそのものです。相手が人間でもロボットでも、子供がとるべき行動は同じです。

標語 意味(警視庁) ロボット相手なら
いか ついていかない(相手が知っている人でも) 話しかけてきても、ついて行かない
の 車にのらない 誘われた乗り物には乗らない
お おおごえをだす(防犯ブザーでも同じ効果) ブザーを鳴らして周りの大人に知らせる
す すぐにげる(大人がいる場所へ) お店や「子ども110番の家」へ駆け込む
し おとなの人にしらせる どんなことがあったか、家の人や先生に話す

警視庁は、「いかのおすし」は繰り返し、具体的に伝え、親子で「こんなときはどうする?」とシミュレーションするのが大切だとしています。「ロボットが来たらどうする?」は、子供が乗ってきやすい練習のお題です。

防犯ブザーは、ランドセルの肩ベルトや習い事バッグなどに付け、電池のチェックとブザーを押す練習をしておくよう警視庁は呼びかけています。

声かけへの具体的な対応は子供への「声かけ事案」と「いかのおすし」の教え方にまとめています。

作戦会議③:声を信じすぎない——家族の「合言葉」

反乱したAIは、家族の声をまねして電話をかけてくるかもしれません。「ママだよ、迎えに行けないから、この人についていってね」。

家族のふりをして電話をかけてくるのは、特殊詐欺の手口の一つです。警視庁は特殊詐欺の対策として、日頃から手口について家族で話をしたり、「合言葉」を決めておくことが大切だとしています。

当ブログとしては、子供との合言葉は次のように決めるのがおすすめです。

  • 家族しか知らないことにする(ペットの名前の由来、家族だけのあだ名など)
  • SNSや人前で言わない
  • 「迎えの人が変わる」「予定と違う場所に行く」と言われたら、合言葉が言えない相手にはついて行かない。合言葉が言えても、まず家の人か先生に確認すると約束する

合言葉は、ロボットにも詐欺の犯人にも、知らない大人にも使える「本人確認」です。

作戦会議④:はぐれたときの連絡方法を決めておく

ロボットの反乱で、もし携帯電話がつながりにくくなったら。現実には、大きな災害のときに同じことが起こります。

そのために用意されているのが災害用伝言ダイヤル(171)です。NTT西日本の案内によると、使い方は次のとおりです。

  1. 171に電話する
  2. 録音は1、再生は2を押す
  3. 連絡を取りたい人(被災地側)の電話番号を市外局番から入力する
  4. 案内に従って(プッシュ式電話機の場合は1を押して)、30秒以内で話す

そして、いざというときに慌てないための体験利用日があります。

  • 毎月1日と15日(0:00〜24:00)
  • 正月三が日、防災週間(8月30日9:00〜9月5日17:00)、防災とボランティア週間(1月15日9:00〜1月21日17:00)
  • 災害が起きているときは、体験利用ができない場合があります

「次の1日に、ロボット反乱の訓練をしよう」と言えば、子供も乗ってくれるかもしれません。実際に家族の番号で録音・再生してみると、どの番号を入れればいいかが体で分かります。

地震のときの家族の約束(集合場所など)は子供に地震・防災を教える|年齢別の伝え方と家族の約束で詳しく書いています。

正直に書いておく点

  • この記事は、ロボットの反乱が起きると言っているわけではありません。反乱の可能性やAIの危険性については、何も分析していません。あくまで、子供と防犯・防災の話をするための「お題」です
  • 合言葉は万能ではありません。人前で言ったり、長く同じものを使ったりすると、知られてしまうことがあります。ときどき家族で見直してください
  • 「いかのおすし」は、覚えるだけでは使えません。警視庁が言うように、具体的な場面で練習することが大切です
  • 家の機械の止め方は、製品の取扱説明書が正解です。この記事は一般的な考え方を書いているだけです

最後にちょこっとお勉強:「フェールセーフ」という考え方

SF作家のアイザック・アシモフは、小説の中で「ロボットは人間に危害を加えてはならない」などの「ロボット工学三原則」を考えました。ロボットの心(プログラム)に安全を約束させる発想です。

一方、現実の機械の安全は、少し違う考え方で作られています。代表的なのが「フェールセーフ」です。これは、機械が壊れたり、おかしくなったりしたときに、安全な側に止まるように設計するという考え方です。先ほどの「柵で囲う」は、これとは別の「防護」という考え方ですが、どちらもロボットの中身を信用しきらずに、外側から安全を確保する発想です。

つまり現実の安全は、「ロボットが良い子でいてくれること」に頼らないのです。おかしくなったら安全側に止まる、近づけないように柵がある。何重にも備えておく。

これは子育ての安全にも通じます。「子供が気をつけてくれるはず」だけに頼らず、防犯ブザー、合言葉、連絡方法と、何重かに備えておく。ロボットの反乱を本気で考えて分かったのは、そういうことでした。

よくある質問

子供が本気で怖がってしまったら?

「本当には起きないけど、練習にちょうどいいお話なんだよ」と、最初に伝えてください。この記事の4つの備えは、ロボットがいなくても、知らない人や地震のときに役立つものです。怖がる様子が強ければ、「ロボット」の部分は外して、ふつうの防犯・防災の練習として話して大丈夫です。

合言葉は何歳から決められますか?

決まった年齢はありません。当ブログの考えとしては、大人以外の人が迎えに来る可能性がある年齢になったら、一緒に決めておくと安心です。覚えられるよう、短く、子供が好きなものにちなんだ言葉がおすすめです。

171の通話料はかかりますか?

NTT西日本の体験利用の案内では、NTT東日本・西日本の電話から録音・再生する場合の通話料は無料、ほかの通信事業者の電話から発信する場合の通話料は各事業者に問い合わせるよう書かれています。体験利用日に、家族がふだん使っている電話で一度試してみてください。

まとめ

  • 職場の産業用ロボットには人と距離をとる決まりがある。家の機械も、近づかない・止め方を大人が知っておく
  • 相手がロボットでも人でも、子供の行動は「いかのおすし」。具体的な場面で練習する
  • 声だけで信じない。家族の合言葉を決める(警視庁も特殊詐欺対策として推奨)
  • はぐれたら171。毎月1日と15日に体験利用できる
  • 安全は「相手が良い子でいてくれること」に頼らず、何重かに備える

次の「もしもの安全ラボ」でも、まず起こらないことを、真面目に考えてみます。

出典

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