見守りGPSは学校に持ち込める?——文科省の通知に「答えが書かれていない」理由と、申請の通し方

通学・見守り

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見守りGPSを買う前に、多くの親がここで止まります。「そもそも学校に持っていっていいの?」

調べても答えがはっきりしません。「うちの学校はOKだった」「うちはダメだった」という体験談ばかりで、判断基準が見えない。

これは学校の気まぐれではありません。国の通知が、見守りGPSについて答えを持っていないからです。この記事では、その理由を通知の原文から説明し、実際にどう進めればいいかを整理します。

まず事実:文部科学省の通知は「携帯電話」について書かれています

学校への持ち込みルールの土台になっているのは、文部科学省の通知「学校における携帯電話の取扱い等について」(平成21年1月30日・20文科初第1156号)です。小学校・中学校について、こう書かれています。

携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物であることから、小・中学校においては、学校への児童生徒の携帯電話の持込みについては、原則禁止とすべきであること。

そして、例外の扱いも同じ通知に書かれています。ここが実務では重要です。

携帯電話を緊急の連絡手段とせざるを得ない場合その他やむを得ない事情も想定されることから、そのような場合には、保護者から学校長に対し、児童生徒による携帯電話の学校への持込みの許可を申請させるなど、例外的に持込みを認めることも考えられること。このような場合には、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないよう配慮すること。

つまり「原則禁止。ただし保護者が校長に申請すれば例外もありうる」という構造です。

なお2020年(令和2年)7月31日に新しい通知が出ており、中学校については条件付きで持ち込みを認める方向に見直されました。ただし小学校は原則禁止のままです。小学生の見守りを考えている場合、上の枠組みで考えることになります。

本題:見守りGPSは「携帯電話」なのか

ここが、答えが割れる理由です。

見守りGPS端末は、多くの製品で通話ができません。メッセージのやり取りもできず、できるのは「今どこにいるか」を親のアプリに送ることと、製品によってはボタンを押して「ここにいるよ」と知らせることだけです。画面がない機種も多くあります。

つまり通知が想定している「携帯電話」とは、機能がかなり違います。

一方で、通知が禁止の理由に挙げているのは「学校における教育活動に直接必要のない物であること」です。この理由なら、GPS端末にもそのまま当てはまります。

通知の文言では「携帯電話」、禁止の理由では「教育活動に必要ない物」。GPSは前者には当たらないが後者には当たる——だから、どちらを重く見るかで学校の判断が分かれます。

そして通知は教育委員会が基本的な指導方針を定めて学校に示すという建て付けになっているため、自治体単位で扱いが違うことも普通に起こります。隣の市ではOKなのにこちらはダメ、ということが実際にあります。

体験談が食い違うのは、みんなが違うことを言っているのではなく、本当に地域ごとにルールが違うからです。

実際にどう進めるか——3ステップ

ステップ1:買う前に学校へ確認する

買ってから聞くと、使えなかったときに困ります。確認する相手と聞き方にコツがあります。

  • 担任ではなく、まず「書面のルールがあるか」を聞く——担任の個人的な見解ではなく、学校または教育委員会が定めた方針を確認します
  • 「携帯電話」ではなく「GPS端末」と言う——通話機能がないことを最初に伝えると、話が早く進みます
  • 持ち込みの可否だけでなく、条件も聞く——「ランドセルに入れたままなら可」「職員室で預かる」など、条件付きで認めている学校があります

ステップ2:禁止と言われたら、通知にある「例外申請」の型を使う

通知には「保護者から学校長に対し許可を申請させる」という手続きが明記されています。これは携帯電話についての記述ですが、学校側にとっても馴染みのある形なので、この型に乗せると話が通りやすくなります。

申請するときは、学校が心配していることに先回りして答えるのが要点です。通知から読み取れる学校側の懸念は、大きく2つあります。

学校の懸念 先回りして書くこと
教育活動への支障(授業中に鳴る、遊び道具になる) 通話・メッセージ機能がないこと。音が鳴らない設定にできること。ランドセルに入れたまま触らせないこと
紛失・破損時の責任の所在 紛失しても学校に責任を求めないこと。名前を記入しておくこと

そして「なぜ必要か」を具体的に書きます。「心配だから」では通りません。通知が例外として想定しているのは「緊急の連絡手段とせざるを得ない場合その他やむを得ない事情」です。次のような事情は、これに当たると説明できます。

  • 通学路が長い、人通りの少ない区間がある
  • 共働きで、下校時に家に大人がいない(留守番と登下校の備え
  • 学童や習いごとへの移動が下校後にある
  • 過去に迷子・不審者の事案があった

ステップ3:それでも通らなかったら

正直に書きます。学校が認めない場合、こっそり持たせるのは勧めません。見つかったときに子どもが板挟みになりますし、預かり・返却のルールがない状態で紛失すると、話がこじれます。

代わりに考えられるのは、この3つです。

  • 下校後だけ使う——学童・習いごと・友達の家への移動は、学校の管理外です。GPSが本当に効くのはむしろこの時間帯です
  • 登下校の見守りは、学校が導入しているサービスを使う——校門の通過をメールで知らせる仕組みが入っている学校があります(ミマモルメGPSの記事で触れています)
  • PTA・保護者会で相談する——同じことを考えている家庭は必ずいます。個人で交渉するより、方針の見直しにつながりやすい

最後にちょこっとお勉強:GPS端末に「毎月お金がかかる」のはなぜか

学校に説明するとき、意外と役に立つ知識です。

GPS衛星から届く信号は、一方通行です。衛星は「いま何時で、私はここにいる」という情報をひたすら放送していて、端末はそれを受け取って自分の位置を計算します。端末から衛星へ何かを送ることはありません。

ということは——端末は自分の居場所を計算できても、それを親に届ける手段を別に持たなければいけません。

そこで使われるのが携帯電話回線です。GPS端末の中には小さなSIMが入っていて、計算した位置をサーバーに送っています。月額料金の正体は、この通信費です。買い切りのタグ(AirTagなど)に月額がかからないのは、通信を他人のスマホに肩代わりさせているからです(→ 月額不要のGPSとの違い)。

ここが学校への説明で効きます。GPS端末は「電波を出す機器」ではありますが、着信もしなければ音も鳴りません。送っているのは位置情報だけで、子どもが操作する余地がほとんどない——これは携帯電話とはっきり違う点です。

申請書に書くとよいこと(そのまま使える型)

学校指定の様式がある場合はそちらに従ってください。無い場合の書き方の型です。

  • 持ち込みたい物:見守りGPS端末(製品名)。通話機能・メッセージ機能はありません
  • 必要な理由:(通学路の状況/下校後の移動/家庭の事情を具体的に)
  • 校内での扱い:ランドセルに入れたまま、子どもには触らせません。音は鳴らない設定にします
  • 紛失・破損時:学校に責任を求めません。氏名を記入します
  • 期間:(学年いっぱい、など)

「学校に迷惑をかけない形にしてあります」が伝わることが、いちばん効きます。

よく検索される疑問に答えます

Q. 見守りGPSは法律で禁止されているのですか?

いいえ。法律ではなく、学校ごとの方針の問題です。文部科学省の通知は「携帯電話」を対象にしたもので、法的な強制力を持つ規則ではなく、学校・教育委員会が方針を定める際の指針という位置づけです。

Q. なぜ学校によって答えが違うのですか?

通知が対象にしているのは「携帯電話」で、GPS端末が該当するかどうかが書かれていないためです。加えて、通知は教育委員会が指導方針を定めて学校に示す形になっているので、自治体単位で扱いが変わります。

Q. キッズケータイなら持ち込めますか?

キッズケータイは通話ができるため、通知が言う「携帯電話」にはっきり当てはまります。小学校では原則禁止の対象です。GPS端末より通りにくいと考えるのが自然です。使い分けはキッズケータイと見守りGPSはどっち?で整理しています。

Q. スマートウォッチ型ならどうですか?

通話やメッセージができる機種は、キッズケータイと同じ扱いになると考えてください。時計に見えるぶん、かえって「隠して持ち込んだ」と受け取られるリスクもあります。学校に出すなら、機能を正直に伝えたうえで判断を仰ぐほうが安全です。

Q. 学童や習いごとには持たせられますか?

学校の管理下を離れた時間は、学校のルールの対象外です。ただし学童(放課後児童クラブ)には学童のルールがありますので、そちらにも確認してください。

Q. 認められなかった場合、GPSを買う意味はありませんか?

あります。学校にいる時間は、大人の目がいちばん多い時間帯です。GPSが本当に効くのは、下校後・休日・習いごとへの移動といった、大人の目が切れる時間です。登下校だけで判断しないでください。

まとめ

  • 文科省の通知は「携帯電話」について「小・中学校は原則禁止」と定めている(平成21年通知)
  • 見守りGPSが「携帯電話」に当たるかは書かれていない。だから学校・自治体で判断が分かれる
  • 通知には「保護者から校長に申請」という例外の型がある。これに乗せるのが実務的
  • 申請では「通話機能がない」「教育活動に支障を出さない」「紛失時に責任を求めない」を先に書く
  • 認められなくても、下校後・休日の見守りには意味がある

製品の選び方は子供見守りGPSおすすめ3選、位置がずれる理由は見守りGPSの精度はどれくらい?にまとめています。

参考

  • 文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等について(通知)」平成21年1月30日・20文科初第1156号
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1405629.htm
  • 文部科学省「携帯電話に関する文部科学省の方針・調査」
    https://www.mext.go.jp/a_menu/seisyounen/houshin/index.htm
  • 文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和2年度)」
    https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/150_2/index.htm

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