結論:子供がいる家の停電対策は「1,000Wh前後・リン酸鉄」の1台。ただし短い停電ならモバイルバッテリーで足ります
大きな地震のあとは、広い範囲で停電が起きます。スマホが切れれば安否確認も災害情報も途絶え、夏はエアコン、冬は暖房が止まります。体温調節が未熟な赤ちゃん・子供には、ここが命に関わります。
先に結論を書きます。子供がいる家庭で「停電しても扇風機・電気毛布・冷蔵庫をしばらく動かしたい」なら、容量1,000Wh前後・リン酸鉄リチウム電池のポータブル電源が現実的な1台です。一方で、「連絡が取れれば十分」「停電は数時間で済む地域」なら、数千円のモバイルバッテリーで足ります。10万円前後の買い物なので、下の表で当てはまるほうを先に確認してください。
| ポータブル電源が向いている家庭 | モバイルバッテリーで足りる家庭 |
|---|---|
| 0〜2歳の子供がいて、夏の扇風機・冬の電気毛布を止めたくない | 子供が小学生以上で、暑さ寒さを服装で調整できる |
| 電動鼻水吸引器・ネブライザーなど、止まると困る機器がある | 止まって困る家電はスマホくらい |
| 冷凍母乳・離乳食・薬など、冷やしておきたい物がある | 冷蔵庫の中身は、半日止まっても諦められる |
| 過去に半日以上の停電があった地域に住んでいる | 停電しても数時間で戻る地域 |
| 置き場所(幅40cm×奥行20cm程度)がある | 置き場所がない・持ち上げるのが難しい(10kg超) |
左に2つ以上当てはまるなら、ポータブル電源を検討する価値があります。右が多いなら、この記事の「まずはモバイルバッテリー」の章だけ読めば十分です。
容量は「止まって困る家電」から逆算する
ポータブル電源選びで一番大事なのは容量(Wh)です。計算は1つだけ覚えれば足ります。
容量(Wh)× 0.8 ÷ 家電の消費電力(W)= おおよその使用時間(0.8は変換ロスの目安)
| 容量の目安 | できること(子供がいる家の停電) |
|---|---|
| 〜300Wh | スマホの充電・LEDライト中心。数日分の連絡手段は確保できる |
| 500〜1,000Wh | 扇風機(30W)なら500Whで約13時間・1,000Whで約27時間。電気毛布(50W前後)なら一晩。夏と冬の停電で子供を守る現実的なライン |
| 1,500Wh以上 | 電子レンジ・ドライヤーなど高出力の家電も短時間なら可。エアコンは動いても短時間と考える |
冷蔵庫は機種によって大きく違います。例えば年間消費電力量590kWhの401L冷蔵庫なら、平均は約67W。1,000Wh級でおよそ12時間が目安です(詳しい計算は停電したら冷凍母乳はどうなる?で解説しています)。「500Wh級で冷蔵庫を丸1日」は無理なので、ここは期待しすぎないでください。
EcoFlowとJackery、1,000Whクラスを公式スペックで比べました
ポータブル電源は国内ではこの2社が定番です。どちらも1,000Wh前後・定格1,500W・リン酸鉄リチウム電池の現行モデルがあるので、各社の公式サイトの数字で並べました(2026年9月26日確認)。
| 項目 | EcoFlow DELTA 3 Plus | Jackery ポータブル電源 1000 New V3 |
|---|---|---|
| 容量 | 1,024Wh | 1,024Wh |
| 定格出力 | 1,500W(X-Boostで最大2,000Wの家電も稼働) | 1,500W |
| 電池 | リン酸鉄リチウム(4,000回後も容量80%以上) | リン酸鉄リチウム(約6,000回後も容量70%を維持) |
| 重さ | 約12.5kg | 約10.6kg |
| ACからの満充電 | 最短56分 | 73分(緊急充電モードで最短50分) |
| 停電時の自動切替(UPS) | 10ms未満 | 約10ms以内 |
| 容量の増設 | 専用バッテリーで最大5kWhまで | — |
| 保証(公式サイト購入) | 5年 | 5年(3年+自動延長2年) |
| 公式サイトの価格 | 87,590円(セール時・通常149,600円) | 109,800円 |
選び方の目安はこうです。
- EcoFlowが向く家庭:充電の速さを重視したい(台風の接近前など、停電前の数時間で満タンにしたい)。将来、容量を増やす可能性がある
- Jackeryが向く家庭:少しでも軽いほうがいい(約2kg軽い)。長く使う前提で充放電回数の多さを重視したい
正直に書いておく点:価格は両社ともセールで大きく変わります。上の価格は確認した日のもので、数日で数万円動くこともあります。また「どちらが安全か」をこの表だけで判断することはできません。どちらもリン酸鉄電池で、メーカーの保証とリコール対応の実績があるブランドという点では同じです。
▶ EcoFlow 公式サイトはこちら![]()
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買う前に確認する3つの安全ポイント
ポータブル電源の発火事故はあります。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2020〜2024年の5年間でリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件、うち約85%が火災につながっています。子供がいる家庭では、次の3つを買う前に確認してください。
- 電池の種類はリン酸鉄リチウム(LiFePO4)か……三元系より熱に強く発火しにくく、充放電の寿命も長い。重くなりますが、防災用は持ち歩く物ではないので不利は小さいです
- 付属ACアダプターにPSEマークがあるか……本体は電気用品安全法の対象外ですが、ACアダプターは対象です。本体にPSE表示がないこと自体は違法ではないため、PSEの有無だけで安全性は判断できません
- メーカー名でリコール情報を検索したか……NITEの事故情報データベースと消費者庁のリコール情報で、買う前にメーカー名を検索するのがいちばん確実です。極端に安い無名ブランドは避けてください
買ったあとは、子供の手が届かない場所で充電・保管する(就寝中の寝室での充電は避ける)、落とした・膨らんだ製品は使わない、の2つを守ってください。置き方の詳細はポータブル電源の「やってはいけない使い方」にまとめています。
注意:発電機と違い、ポータブル電源は室内で使えますが、容量や出力を超える家電は動きません。医療機器(在宅酸素など)を使うご家庭は、必要な電力を事前に主治医・機器メーカーに確認しておきましょう。
まずはモバイルバッテリー(ポータブル電源を買わない家庭も、これは必須)
ポータブル電源を買う・買わないにかかわらず、非常持ち出し袋にはモバイルバッテリーを入れておきます。避難所へ持って行けるのはこちらだけです。
- 容量……スマホ2〜3回分なら10,000mAh前後、家族で使うなら20,000mAh級
- ポート数……家族で同時に充電できるよう2ポート以上・USB-C対応
- 満充電をキープ……数か月に1回は充電する。普段使いして補充する(ローリングストック)と、いざというとき空になっていません
冷暖房の止まる停電への備えは、夏は夏の停電で赤ちゃん・子供を守る、冬は停電で赤ちゃんが寒いときも参考にしてください。
よくある質問
Q. モバイルバッテリーとポータブル電源、どっちを先に買う?
モバイルバッテリーです。軽くて安く、持ち出し袋にも入ります。ポータブル電源は、最初の表で「向いている」に2つ以上当てはまった家庭が追加で検討する物です。
Q. ポータブル電源はいらない?
「連絡だけ取れればいい」家庭には要りません。必要になるのは、子供の体調を守る家電を動かしたいときです(夏の扇風機、冬の電気毛布、電動鼻水吸引器など)。小さい子供・持病のある子供がいる家庭ほど優先度が上がります。
Q. 普段使わないと劣化しませんか?
バッテリーは自然放電します。数か月に1回は充電し、満充電に近い状態を保つか、普段から使って補充してください。
👉 発火事故を防ぐ具体的な使い方はポータブル電源の「やってはいけない使い方」と子供がいる家の置き方で、消防庁のデータをもとに詳しく解説しています。
👉 防災週間(8月30日〜9月5日)に家族で見直すチェックリストと、目的別の記事一覧は子供用防災グッズおすすめ5選【逃げる・守る・生き抜く】にまとめています。
📌 あわせて読みたい:停電したら冷凍母乳はどうなる?——冷凍庫は開けなければ半日〜1日
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この記事を書いた人
メーカーの生産技術エンジニアとして14年、設備の電源設計や非常用電源にも関わってきました。工場では「電気が止まったとき何を最優先で動かすか」を先に決めておきます。家庭でも同じで、止まって困る物(連絡・情報・冷暖・医療機器)から逆算して電源を選ぶのがコツです。
まとめ
地震の停電で子供を守る鍵は電源の確保です。全員に必要なのはモバイルバッテリー。そのうえで、0〜2歳の子供がいる・止まると困る機器がある・半日以上の停電が起きうる地域、のどれかに当てはまるなら、1,000Wh前後・リン酸鉄リチウムのポータブル電源を検討してください。買う前にリコール情報を検索し、置き場所は子供の手が届かない所に決めておきましょう。
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📌 あわせて読みたい:停電で赤ちゃんが寒い——暖房が止まった夜にやってはいけない4つ
参考
※本記事は一般的な情報です。製品の仕様・安全性は各メーカーの表示をご確認ください。

